業務引き継ぎでは、マニュアルや手順書があれば安心だと思われがちです。ところが、株式会社taiziiiの調査では、既存の業務マニュアルや手順書が「不十分」だったという回答が74.0%にのぼりました。

4人に3人が「マニュアルは不十分」と回答
調査対象は、従業員1,000名以上の大企業で働く課長職以上の管理職200名です。既存の業務マニュアルや手順書が十分に整備されていたかを尋ねたところ、「不十分」が74.0%、「十分」は26.0%でした。
しかも、マニュアルがまったく使われていないわけではありません。引き継ぎ方法では「既存マニュアル共有」と「口頭での説明」がどちらも53.5%で最多でした。つまり、資料はあるのに、質が追いついていない状況が見えてきます。
不満の1位は「情報が古い・誤っている」
良くない引き継ぎ資料の特徴として最も多かったのは、「情報が古い・誤っている」62.5%でした。次いで「情報が不足している」59.5%、「要点が不明確」51.5%が続きます。
注目したいのは、見た目の問題よりも中身への不満が中心だったことです。たとえば「フォーマットがバラバラ」は31.5%にとどまっており、現場が困っているのは整った見栄えではなく、信頼できる内容かどうかだと分かります。

理想の資料は「全体像」「要点」「網羅性」
一方で、理想的な引き継ぎ資料として挙がった上位項目は、「業務の全体像がわかる」56.5%、「要点がまとまっている」55.5%、「情報が網羅的」51.5%でした。
さらに「検索性が高い」も43.5%と比較的高く、求められているのは細切れのメモではなく、業務をひとまとまりの知識として受け渡せる資料だといえます。
「作って終わり」の運用が引き継ぎを弱くする
今回の調査結果から見えてくるのは、マニュアルがないことよりも、作られた後に更新されず、実態とズレていくことが問題だという点です。
業務は日々変化します。にもかかわらず、マニュアルが前任者の在任中のまま止まっていれば、現場では「どこまで正しいのか分からない」という状態になりがちです。結果として、引き継ぎのたびに口頭説明へ依存し、属人化が進みます。
- マニュアルはあるが、最終更新日が古い
- 重要な判断の背景が書かれていない
- 一部のベテランしか内容を把握していない
- 更新作業が後回しになり、情報が陳腐化する
こうした状態では、資料が存在していても「引き継げる資料」にはなりません。
引き継ぎを強くするには、資料を“更新し続ける仕組み”が必要
調査結果が示すのは、単なる文書作成ではなく、業務の変化に合わせて知識を更新し続ける運用の重要性です。全体像、要点、網羅性を備えた資料を保つには、現場の暗黙知を定期的に引き出し、反映する仕組みが欠かせません。
特に大企業では、業務が複雑化しやすく、担当者の経験に依存した運用が続くと引き継ぎのたびに負担が増えます。だからこそ、資料を一度作って終わりにせず、組織の資産として維持する発想が求められます。
まとめ
今回の調査では、業務引き継ぎの課題は「資料がないこと」ではなく、古い・不足している・要点が分からない資料が残っていることだと分かりました。
引き継ぎを成功させるには、全体像をつかめて、要点がまとまり、内容が網羅されていることが大切です。さらに、その状態を保つ更新体制まで含めて整える必要があります。
マニュアルを整備しているつもりでも、実際には「引き継げない資料」になっていないか。いま一度、見直すきっかけにしたいデータです。
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この記事を書いた人Wrote this article
sorein 教育×ITフリーランス / 女性
小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。




