学生が開発する「子どもが話したくなるチャットAI」とは?安心して話せる相談体験の実現へ

学生が開発する「子どもが話したくなるチャットAI」とは?安心して話せる相談体験の実現へ
学生らが研究開発する子どもが話したくなるチャットAIのイメージ

子どもが安心して悩みを話せる相手は、いつも身近にいるとは限りません。そんな課題に対して、一般社団法人コミュニケーションワーカー支援機構のイルカの耳研究会が、「子どもが話したくなるチャットAI」の研究開発を始めました。

これまで大学生がSNSを通じて子どもと対話する「ピアチャット」を続けてきた経験をもとに、AIでも“話しやすさ”や“安心感”をどう再現できるのかを探る取り組みです。

大学生との対話で見えてきた「話せる相手」の条件

イルカの耳研究会では、大学生がLINEなどを通じて、友達関係や恋愛、学校生活、推し活、ゲームといった、子どもがそのとき話したいことを同じ目線で受け止めてきました。

悩みそのものがすぐに解決しなくても、最後まで話を聞いてもらえたことで「心が少し軽くなった」「スッキリした」と感じる子どもは少なくありません。アンケートでも、安心して話せる相手として次のような声が多く挙がったそうです。

  • 否定せずに受け止めてくれる人
  • 最後まで話を聞いてくれる人
  • 気持ちをわかろうとしてくれる人

こうした実感を、今回のチャットAI研究にも活かしていく方針です。

AIと大学生を選べるハイブリッド相談体制

今回の取り組みのポイントは、子どもがその時の気分に合わせてAIか大学生かを選べることです。相談を始めたあとでも、途中から大学生に切り替えることができます。

大学生だけで対応すると、人数や時間に限界があります。そこでAIを導入することで、子どもが話せる時間と選択肢を広げ、より使いやすい相談導線を目指しています。

また、重篤な可能性のあるキーワードが検知された場合には、独自開発した「優先救済型システム」で速やかに確認し、専門家につなぐ仕組みも備えています。

大学生と子どもがLINEで対話するピアチャットのイメージ

なぜ学生が子どものためのチャットAIを研究するのか

この活動は、先輩大学生から後輩大学生へと受け継がれ、すでに8年目を迎えています。自治体が主催するSNS相談事業にも携わり、専門家の指導のもとで、子どもの話を聴く実践を積み重ねてきました。

その中で見えてきたのは、世代の近い学生だからこそ話せることがあるという点です。大人からの共感と、少し年上の学生からの共感では、子どもへの届き方に違いがあることも感じてきたといいます。

そうした現場の肌感覚を、AIの設計に生かすことで、子どもが「また話したい」と思える相談体験につなげようとしているのです。

心理の専門家と連携し、安心できる設計をめざす

この研究では、公認心理師・臨床心理士・医学博士の戸田愛子氏が指導に加わり、心理面からも専門的に支援します。子どもたちへのアンケートや実際の対話から得た声を研究に反映し、安心して使えるチャットAIのあり方を探っていくとのことです。

なお、研究で得られた知見は、個人が特定されないよう十分に配慮したうえで、可能な範囲で発表される予定です。

相談のハードルを下げる新しいAI活用の形

今回の取り組みは、単なるAI導入ではありません。大切なのは、子どもが安心して本音を言える関係性をどう設計するかという視点です。

相談相手を「AIか大学生か」で選べること、途中で切り替えられること、必要なら専門家につながること。こうした仕組みは、子どもが悩みを抱え込みすぎる前の“早めの支援”として大きな意味を持ちそうです。

テクノロジーが人の温かさを置き換えるのではなく、話しやすさを広げるための手段として活用される。イルカの耳研究会のチャットAIは、そんな新しい相談支援の形を示しているといえるでしょう。

参考記事

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000061718.html

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sorein

sorein 教育×ITフリーランス / 女性

小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。