中小企業の2026年夏季賞与調査から見る、賞与水準と評価基準の課題

中小企業の夏季賞与は、単なる「ボーナスの金額」ではなく、採用や定着、従業員の納得感を左右する重要な人事施策です。株式会社エフアンドエムの調査からは、賞与支給の広がりだけでなく、増減の背景や評価制度の課題も見えてきました。

中小企業の2026年夏季賞与支給に関する実態調査のイメージ

2026年夏季賞与は8割超の企業が支給

今回の調査は、エフアンドエムクラブ会員企業2,712社を対象に、2026年6月1日から6月30日まで実施されました。その結果、夏季賞与を支給した企業は8割を超え、賞与制度が中小企業にも広く浸透していることがわかります。

支給額は正社員1人あたり20万円台から30万円台が中心でしたが、実際には10万円台から50万円超まで幅広く分かれていました。最も多い金額帯でも全体の2割に届かず、企業ごとの判断差が大きい点が特徴です。

増額の背景は業績よりも外部環境への対応

昨年度からの変化を見ると、「ほぼ変わらない」が主流でした。動きのあった企業では増額した企業が減額した企業を大きく上回っています。

注目すべきは、増額理由の上位が「業績が好転したため」ではなかったことです。実際には、

  • 物価上昇など経済環境に対応するため
  • 人材確保・定着を図るため
  • 基本給のベースアップの影響

といった理由が並び、春の賃上げの流れが夏季賞与にも波及していることが読み取れます。中小企業にとって賞与は、業績連動だけでなく、採用競争力や従業員の離職防止を意識した判断にもなっているようです。

減額時は業績悪化の影響がより大きい

一方で、減額した企業の理由は対照的でした。最も多かったのは「業績が悪化したため」で、2位の「物価上昇・コスト増で原資不足」を大きく引き離しています。

つまり、業績は賞与を増やす要因の一つである一方、減額局面ではより強く作用するといえます。外部環境への対応で賞与を維持・増額する企業がある一方で、自社の収益が悪化すれば、その水準を保つのは難しくなります。

中小企業では特に、物価上昇や人件費上昇の影響を受けやすいため、賞与原資の確保は今後も大きな経営課題になりそうです。

賞与支給の増減理由に関する調査結果

非正規従業員への支給は企業ごとに二分

非正規従業員への賞与支給については、支給する企業としない企業がほぼ半数ずつで分かれました。ここでも、制度設計の考え方が企業ごとに大きく異なっていることがわかります。

賞与を「正社員中心の制度」とするのか、「雇用形態を問わず処遇に反映する制度」とするのかによって、社内の納得感や説明のしやすさも変わります。人材確保の観点からは、非正規従業員への扱いも見直しの論点になりやすいでしょう。

最大の課題は賞与査定基準の設定

支給方法としては、「個人評価によって変動」「業績による変動」が上位でした。つまり、単に固定額を配るのではなく、評価や業績を反映した設計が主流になっています。

しかし、賞与支給に関する課題として最も多かったのは「賞与査定基準の設定」でした。自由記述でも、「ちゃんとした評価基準がないので昨年よりも下げづらい」といった声があり、基準づくりの難しさが浮き彫りになっています。

評価や業績と連動させる仕組みを作っても、従業員に説明できる形で運用できなければ納得感は得られません。賞与は金額そのものだけでなく、なぜその額なのかを説明できるかが重要です。

賞与査定基準の設定に関する課題

中小企業が今後見直したいポイント

今回の調査から見えてくるのは、賞与制度が単なる慣例ではなく、人材戦略の一部として扱われているということです。中小企業が今後見直したいポイントは、次の3つに整理できます。

  • 賞与水準を業績だけでなく、物価上昇や採用市場も踏まえて見直すこと
  • 評価や業績を反映する場合は、査定基準を明文化すること
  • 非正規従業員を含めた処遇方針を社内で整理すること

賞与は、毎年の支給額を決めるだけで終わりではありません。従業員に伝わる基準を整えることで、制度への理解が深まり、結果として定着率やエンゲージメントの向上にもつながります。

人事評価制度や賞与制度の設計に悩む企業は、自社だけで抱え込まず、専門家の支援を活用するのも有効です。公平で説明しやすい仕組みを整えることが、これからの中小企業に求められています。

参考記事

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000145.000029825.html

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sorein

sorein 教育×ITフリーランス / 女性

小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。