
中小企業で業務改善に取り組んでも、思うような成果につながらない――そんな実態が調査で浮き彫りになりました。株式会社スタディストの調査によると、従業員300名未満の企業で業務改善に携わった担当者のうち、約8割が「目標の成果に届かない」と回答しています。

一見すると、DXやAI導入が進めば解決しそうに見えます。しかし、調査結果を読み解くと、課題はツール導入だけではありません。むしろ、改善の前段階である「業務の棚卸し・整理」をどれだけ丁寧に行えるかが、成果を左右していました。
約半数がコア業務に集中できていない
まず目立ったのは、日常業務に追われてコア業務へ十分に時間を割けていない実態です。調査では、47.0%が「コア業務にあまり/ほとんど集中できていない」と回答しました。
特に時間を取られている業務は、社内報告・資料作成、メールやチャット対応、請求・経費処理などの事務作業です。こうした周辺業務は個々では小さくても、積み重なると本来注力すべき業務を圧迫します。
- 社内報告・資料作成:56.5%
- メール・チャット対応:43.0%
- 請求・経費処理などの事務作業:40.0%
つまり、業務改善の出発点は「何を効率化するか」以前に、どの業務が本当にコア業務なのかを見極めることにあります。
業務改善が成果につながらない理由は「時間不足」だけではない
業務改善の結果については、「おおむね目標通り」「目標以上」の成果を得られた企業は19.5%にとどまりました。残りの80.5%は、目標の半分程度に終わったり、ほとんど成果が出なかったり、途中で止まったりしています。
成果不十分だった理由として最も多かったのは、「担当者が他業務と兼任で手が回らなかった」(28.6%)でした。続いて「時間が足りなかった」(23.0%)、「何から手をつければよいかわからなかった」(22.4%)が挙がっています。
ここから見えてくるのは、単なる人手不足だけでなく、改善の進め方そのものが整理されていないという課題です。兼任担当が多い中小企業では、改善活動を「思いついた施策から始める」形になりやすく、途中で失速しやすいと考えられます。
成果を出した企業ほど「棚卸し・整理」に時間をかけていた
今回の調査で特に重要なのが、「業務の棚卸し・整理」にどれだけ時間を使ったかと成果の関係です。
調査では、「棚卸し・整理」と「改善」を明確に分けて進めた人はわずか9.0%。多くの担当者は、整理と改善を混同したまま進めていました。さらに、改善全体のうち整理に割く時間が2割以下の人が71.0%を占めています。
一方で、整理に時間をかけるほど成果達成率は高まる傾向が見られました。特に、整理に5割以上の時間をかけた企業では63.6%が目標を達成しています。
- 整理に1割未満:成果達成率は低め
- 整理に1〜2割:多数派だが成果は伸びにくい
- 整理に3〜4割:成果達成率が上向く傾向
- 整理に5割以上:目標達成率63.6%
要するに、業務改善は「すぐに削る・自動化する」だけでは不十分です。まず現状を可視化し、業務の重複や属人化、不要な手順を洗い出す工程が、後の改善効果を大きく左右します。
AI導入は広がっているが、個人利用で止まりやすい
AI・自動化ツールの導入も進みつつあります。会社でAIや自動化ツールを導入したことがある人は47.0%でした。
ただし、活用実態を見ると、61.7%が「個人的な作業補助」にとどまっており、業務フロー全体へ組み込めているケースは多くありません。導入しただけでは、組織の生産性向上にはつながりにくいことがわかります。
効果が出ない理由としては「使いこなせる人材がいない」(65.6%)が最多でした。次いで「どの業務に適用すればいいかわからない」(40.6%)で、AI活用でも人材育成と業務整理が重要だといえます。
外部リソースを使う発想が、改善の突破口になる
調査では、業務の棚卸し・整理を外部に任せる選択肢について、56.5%が「検討したことがない」と回答しました。その理由は「自社でできると思っていた」(45.1%)、「そういったサービスがあることを知らなかった」(37.2%)が中心です。
一方で、コア業務に集中できていない人ほど、外部リソース活用を「有効」と考える傾向が強く、79.8%が肯定的でした。集中できている人の65.1%と比べても、差は14ポイント以上あります。
これは、非コア業務に悩む現場ほど「誰かに任せたい」というニーズが強いことを示しています。業務改善を成功させるには、すべてを自社だけで抱え込まず、整理・設計・実装の一部を外部に委ねる発想も必要です。
中小企業の業務改善で押さえるべき3つのポイント
今回の調査から、中小企業が業務改善を進めるうえで意識したいポイントは次の3つです。
- 1. コア業務を明確にする
何を守り、何を減らすのかを先に決めることで、改善の方向性がぶれにくくなります。 - 2. 業務の棚卸し・整理に時間を使う
改善の前提を整える工程を軽視しないことが、成果につながる近道です。 - 3. 外部リソースやAIを目的に応じて使う
導入自体より、どの業務にどう組み込むかが重要です。
業務改善は、すべての業務を頑張って効率化することではありません。本来注力すべき仕事に集中できる状態をつくることが、最終的な目的です。人手不足が深刻化するなか、中小企業ほど「自社だけで完結させる」前提を見直し、仕組みで回る体制づくりを進める必要があります。
今回の調査は、業務改善の成功にはツール導入以上に、業務の可視化や整理、そして任せ方の設計が欠かせないことを示しています。改善が思うように進まないと感じている企業こそ、まずは棚卸しから見直すことが有効な一歩になりそうです。
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この記事を書いた人Wrote this article
sorein 教育×ITフリーランス / 女性
小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。




