
社内ヘルプデスクの現場では、生成AIや業務効率化ツールの導入が進む一方で、担当者の負担はむしろ増えているようです。キヤノンマーケティングジャパン株式会社が実施した2026年版の調査では、情報システム部門の担当者の73.0%が、3年前より業務負荷が増加していると回答しました。
本記事では、社内ヘルプデスクの課題、外部委託の広がり、生成AI活用の現状を整理しながら、これからの運用に必要な視点をわかりやすく紹介します。
社内ヘルプデスクは「増える業務」に追いつけていない
調査対象は、従業員数300〜1,000名未満の企業に勤務する情報システム部門のヘルプデスク担当者111名です。そのうち80.2%が現在の社内ヘルプデスク業務に課題を感じていると回答しました。
特に目立ったのが、「人員不足により一人当たりの負担が大きい」という声です。これは55.1%で最多となっており、属人的な運用や急な欠員への対応難も大きな悩みとして挙がっています。
- 人員不足により一人当たりの負担が大きい:55.1%
- 特定のスタッフが休暇や退職した場合に対応が困難:47.2%
- ヘルプデスク対応に時間を取られ、他業務が進められない:43.8%
つまり、問い合わせ対応の量そのものだけでなく、ナレッジの属人化や業務の分断も現場の負荷を押し上げているといえます。
効率化は進むが、「人を増やす」だけでは解決しにくい
業務効率化の取り組みとしては、サポートツールの導入やチャットボットの活用が上位に入りました。一方で、前年と比べて「人員増強」は28.8%にとどまり、15.2ポイント減少しています。
- ヘルプデスクスタッフ向けサポートツール導入:47.7%
- チャットボットで人手をかけない対応を増やす:45.0%
- 外部の専門業者に委託する:41.4%
- 人員増強:28.8%
この結果からは、単純な増員よりも、ツール導入・自動化・外部委託を組み合わせる方向に現場の意識が移っていることが見えてきます。
外部委託は約9割に拡大、求められるのは「ハイブリッド運用」
社内ヘルプデスク業務を外部委託している企業は、業務全体委託が32.4%、部分委託が54.1%となり、合計で約9割に達しました。前年と比べても委託の広がりが確認できます。
さらに、BPO事業者を選ぶ際に重視する条件として最も多かったのは、「自動化と有人対応を組み合わせたハイブリッド運用ができること」で58.7%でした。
- 自動化と有人対応のハイブリッド運用:58.7%
- IT資産管理やアカウント管理なども任せられること:50.0%
- 継続投資があり長期的に伴走できること:40.4%
外部委託に求められているのは、単なる問い合わせ対応の代行ではありません。自動化で効率を上げつつ、重要な場面では人が対応する運用力が重視されています。
生成AI活用は「検討段階」から「本格活用」へ
ヘルプデスク業務での生成AI活用については、すでに
活用・検討領域としては、FAQ自動作成が最も多く、チャットボットやボイスボットの自動対応が続きます。
- FAQ自動作成:62.9%
- チャットボットでの自動対応:54.3%
- ボイスボットでの自動対応:48.6%
導入時の課題としては、「どこから導入するのがよいかわからない」が75.0%で最多でした。すでに“使うかどうか”ではなく、“どこにどう組み込むか”が論点になっていることがわかります。

これからの社内ヘルプデスクに必要な視点
今回の調査から見えてきたのは、社内ヘルプデスクが人手不足・属人化・業務増加という三重苦に直面している現実です。その一方で、現場はすでに増員よりも、ツール・外部委託・生成AIを組み合わせた再設計へと動き始めています。
今後は、以下のような取り組みがより重要になるでしょう。
- 問い合わせ内容を分析し、自己解決できる導線を増やす
- FAQやナレッジを整備し、属人化を減らす
- チャットボットや生成AIを運用の一部として組み込む
- 外部委託先には「自動化+有人対応」の両立を求める
とくに、生成AIは単独で導入するより、業務プロセスやナレッジ整備とセットで運用することが成功のポイントになりそうです。
まとめ
キヤノンマーケティングジャパンの調査では、社内ヘルプデスク業務の負荷増加が明確になりました。担当者の7割超が負担増を実感し、8割超が課題を抱える中で、外部委託や生成AI活用はすでに現実的な選択肢になっています。
今後は、単に業務を減らすだけでなく、人とテクノロジーを組み合わせて運用全体を最適化することが重要です。社内ヘルプデスクの見直しを検討している企業にとって、今回の調査結果は大きなヒントになるはずです。
出典:キヤノンマーケティングジャパン株式会社(https://canon.jp/)
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この記事を書いた人Wrote this article
sorein 教育×ITフリーランス / 女性
小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。


