

企業が中長期ビジョンを掲げるのは珍しくありません。しかし、現場の従業員にその未来像がしっかり届いているかというと、実態は必ずしもそうではないようです。株式会社クレオが実施した調査では、働く人の46.4%が「職場の未来や今後の成長に不安がある」と回答しました。
さらに注目すべきなのは、ビジョンの必要性は感じているのに、内容を理解している人は少ないという点です。この記事では、調査結果をもとに、なぜビジョンが浸透しにくいのか、そして現場を巻き込みながら“自分事化”するために何が必要かを整理します。
従業員の半数近くが職場の未来に不安を感じている
今回の調査で、職場の未来や今後の成長に「不安を感じている」と答えた人は46.4%にのぼりました。およそ2人に1人が、会社の将来に対して前向きな安心感を持てていないことになります。
不安の理由としては、「優秀な人材の確保が難しい」「モチベーションが低い」といった課題に加え、「経営陣・上層部のリーダーシップや経営手腕への疑問」が上位に挙がりました。つまり、現場の不安は業績や市場環境だけでなく、経営層への信頼感にも左右されていると考えられます。
中長期ビジョンの必要性は高いのに、理解は進んでいない
一方で、企業の中長期ビジョンについては83.4%が「必要だ」と回答しています。将来に向けた道筋が必要だと感じる人は多いものの、自社のビジョンを「内容まで理解している」と答えた人は24.8%にとどまりました。
このギャップは非常に大きいです。ビジョンそのものの存在価値は認められているのに、現場に届いていない。しかも、必要性を感じない人の理由には「きれいごとに聞こえる」「上から押し付けられている感じがする」といった声がありました。
ここから見えるのは、ビジョンへの反発そのものよりも、伝え方や浸透の仕組みに課題があるということです。
理解されれば評価は高い。問題は“中身”より“届け方”
調査では、自社のビジョンを理解している人の75.8%が、その内容を「よくできている」と評価しています。これは、ビジョンの内容自体は一定の納得感を持たれやすいことを示しています。
つまり課題は、立派な言葉を作ることではありません。どう全社に共有し、どう自分の仕事と結びつけるかです。ビジョンが現場で機能するには、単なる発信ではなく、対話や共創のプロセスが欠かせません。
ビジョンを“自分事化”するための3つの対策
クレオは調査結果を踏まえ、経営層に必要な対策として3つの方向性を示しています。現場の納得感を高めたい企業にとって、実践のヒントになる内容です。
- 経営陣の本音を語る:理想論だけでなく、何を課題と捉え、どこを目指すのかを誠実に伝える。
- 双方向のワークショップを設計する:従業員が自分の業務とビジョンのつながりを考える場をつくる。
- 外部の客観的視点を取り入れる:社内だけでは見えにくい課題やトレンドを踏まえ、納得感あるロードマップを描く。
特に重要なのは、ビジョンをトップダウンで“伝える”だけで終わらせないことです。現場が納得し、自分たちの行動に落とし込めてはじめて、ビジョンは組織を動かす力になります。
人事・経営企画にとっての示唆
この調査は、人事や経営企画にとっても示唆に富んでいます。採用や定着の場面では、企業の将来像が見えないこと自体が不安材料になります。また、エンゲージメント向上の観点でも、ビジョンが形骸化していると組織の一体感は生まれにくくなります。
重要なのは、ビジョンをスローガンとして掲げるのではなく、日々の業務や評価、育成と接続させることです。現場の言葉で説明し、現場の課題と結びつけることで、初めて未来像は具体性を持ちます。
職場の未来に不安があるという声は、裏を返せば「もっと良くなってほしい」という期待の表れでもあります。だからこそ、経営層が本音で語り、現場と対話しながら未来を描く姿勢が求められます。
まとめ
クレオの調査からは、ビジョンの必要性は広く認識されている一方で、現場への浸透が大きな壁になっていることがわかりました。中長期ビジョンを機能させるには、内容の良し悪し以上に、どう伝え、どう共感を生むかが重要です。
職場の未来に不安を抱える従業員に対して、経営層が本音を示し、双方向の対話を通じてビジョンを自分事化していく。こうした積み重ねが、組織の信頼と実行力を高める第一歩になるはずです。
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この記事を書いた人Wrote this article
sorein 教育×ITフリーランス / 女性
小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。




