
株式会社Ur AIは、日本語のビジネス文書をAIが扱いやすい形に変換するドキュメントAI製品「Nebula」の提供を開始しました。PDFやスキャン文書、スライド資料をそのまま生成AIに読み込ませると、表や数値の対応関係が崩れてしまうことがあります。Nebulaは、そうした課題に対して文書の意味を保ったままAI-readyにすることを目指したサービスです。

Nebulaは何を解決するのか
企業の知識は、PDFやIR資料、スキャンされた契約書、会議資料などに蓄積されていることが多いです。しかし、生成AIに読み込ませるために形式を変換すると、文字起こしはできても、表の構造や数値の紐づきが失われる場合があります。Ur AIはこの問題を「文書変換における意味の保持」として捉え、独自ベンチマーク「RCRR Benchmark」を公開しました。
2つの提供形態で用途に応える
Nebulaは、利用環境に応じて2つの形態で提供されます。クラウドで使いやすい「Nebula Frontier」と、顧客環境内で完結する「Nebula Sovereign」です。どちらも、日本語ビジネス文書をAI向けに扱いやすくするための仕組みを備えています。
- Nebula Frontier:プラットフォームおよびAPIで利用できるオーケストレーション版
- Nebula Sovereign:顧客管理のGPU上で動く完全自社ホスト版
- PDF、スキャン文書、表やチャートを含む資料の変換に対応
- 機密性やコスト要件に応じて選べる構成
特にNebula Sovereignは、データを外部に出したくない金融、保険、半導体、ヘルスケアなどの業界に向いています。自社環境で完結するため、セキュリティやデータ主権を重視する企業にとって導入しやすい設計といえます。
独自ベンチマークRCRRで高評価を記録
Ur AIは、文書を変換したあとに「意味がどれだけ保持されているか」を測るため、RCRR(reading-comprehension recovery:読解回復率)を開発しました。これは単なる文字認識率ではなく、変換後の文書を読んだAIが、元資料から答えられるはずの質問にどれだけ正しく答えられるかを評価する指標です。
今回の評価では、Nebula FrontierがRCRR総合スコア94.4を記録し、評価対象のドキュメントAI製品の中で最高スコアとなりました。テキスト・表の設問では94.3を記録しており、フロンティアVLM APIと比較しても統計的同等の結果が示されています。

また、Nebula Sovereignは87.3を記録し、Microsoft Azure Document Intelligenceと統計的に同等の結果となりました。チャートを含む文書では、数値そのものよりも「どの項目に対応する数値か」が重要ですが、RCRRはそのような意味の崩れまで評価できる点が特徴です。
チャートや表の読み取りに強い理由
文書AIの難しさは、OCRで文字を読むだけでは終わらないことにあります。たとえば、ウォーターフォールチャートのような資料では、為替差や価格/MIX、固定費といった項目と数値の対応を正しく理解できなければ、AIの回答がずれてしまいます。Nebulaは、こうした構造情報を含めて扱うことを重視している点が強みです。
プレスリリースでは、Nebula Frontierが商用クラウドOCRに対して有意に上回る結果を示したほか、最新のフロンティアVLM APIとも統計的同等とされています。日本語ビジネス文書の実務利用を意識した設計で、実運用に近い条件で評価されているのも注目ポイントです。

料金と導入のしやすさ
Nebula Frontierは、1ページあたり10円(税別)からの従量課金で利用できます。100ページ未満のPDFは、プラットフォーム上で無料で試せるため、まずは手元の文書で精度や使い勝手を確認しやすい点が魅力です。一方、Nebula Sovereignは個別見積もりで、定額型運用にも対応します。
生成AIの活用が進むほど、文書をどう扱うかは重要になります。Nebulaは、単なるOCRツールではなく、AIが理解しやすい形に文書を整える基盤として、今後の企業内AI活用を支える存在になりそうです。
まとめ
Ur AIの「Nebula」は、日本語のビジネス文書をAI-readyに変換するためのドキュメントAIです。クラウド利用向けのNebula Frontierと、機密文書向けのNebula Sovereignを用意し、RCRR Benchmarkでは高い評価も獲得しました。PDFやスキャン資料をAI活用の土台にしたい企業にとって、注目度の高い新サービスといえるでしょう。
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この記事を書いた人Wrote this article
sorein 教育×ITフリーランス / 女性
小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。




