生成AIの普及で、企業の採用広報はこれまで以上に情報発信しやすくなりました。一方で、情報を受け取るZ世代の側では、「整いすぎたテキストはAIでリライトされた建前ではないか」という不信感が高まっています。

株式会社PRIZMAが実施した調査では、新卒1〜3年目の会社員を対象に、企業選びの情報収集やカルチャーフィットに関する意識が明らかになりました。そこから見えてきたのは、テキストへの警戒とタイパ重視の情報収集という、今の若手世代らしい二つの特徴です。
生成AIの普及で「きれいすぎる文章」への警戒が強まる
調査では、企業の採用サイトや社員インタビューなど、文字ベースの情報を読む際の懸念について聞いています。その結果、最も多かったのは「生成AI等によって、都合の良いように綺麗にリライトされているのではないか」という不信感でした。
- 生成AIで都合よく整えられている気がする:31.4%
- 企業にとって良いことしか書かれていないと感じる:30.6%
- 本当に社員自身の言葉なのかわからない:25.9%
生成AIは企業にとって便利な一方で、受け手から見ると「どこかで見たような文章」に見えやすくなります。結果として、効率化が進むほどオリジナリティが伝わりにくいという逆説が起きているのです。
Z世代が求めるのは「リアルな雰囲気」だが、選ばれるのは動画・音声
では、テキストに不信感を持つZ世代は、どのような情報発信を信頼しやすいのでしょうか。調査では、企業の本音や社風が伝わりやすいコンテンツとして、SNSの動画や社員インタビュー動画、ポッドキャストやラジオが上位に挙がりました。
- SNSでの動画コンテンツ:32.8%
- 社員インタビュー動画・採用動画:30.8%
- ポッドキャストやラジオ:25.4%
テキストや写真よりも、話し方や声のトーン、表情まで伝わるコンテンツのほうが「リアル」が感じられる、というわけです。採用広報では、もはや公式サイトだけで勝負する時代ではないと言えるでしょう。
ただし動画は“じっくり見る”ものではない。7割が効率視聴を選択
一見すると、動画需要の高まりは企業にとって追い風です。しかし実態を見ると、Z世代の視聴スタイルはかなり割り切っています。企業情報を動画で得る際の理想に近い視聴方法として多かったのは、倍速再生や流し聞き、バックグラウンド再生でした。
- 倍速再生で短時間視聴:26.9%
- 音声メインの「流し聞き」:25.2%
- バックグラウンド再生で音声のみ:18.3%
これらを合計すると、約7割(70.4%)が効率重視の視聴スタイルを選んでいます。つまり、企業が時間とコストをかけて制作した映像も、実際には「画面を見ずに音だけ聞かれている」可能性が高いのです。
これは採用動画の作り方を考えるうえで重要な示唆です。おしゃれなオフィスや社員の表情を映したリッチな映像でも、視聴者が倍速や流し聞きで消費しているなら、見せたい情報が十分に届いていないかもしれません。
採用広報の新しい答えは「音声コンテンツ」にある
今回の調査で浮かび上がったのは、Z世代の就活・転職における二重の課題です。ひとつは、文字情報へのAI不信。もうひとつは、動画であっても時間を奪われたくないというタイパ意識です。
この2つを同時に満たしやすいのが、ポッドキャストやラジオなどの音声コンテンツです。視覚を拘束せず、別の作業をしながらでも情報収集できるため、Z世代の「ながら消費」と相性が良いのです。
- 編集しすぎた文章よりも、生の声が伝わる
- ながら聴きできるので時間効率が良い
- 入社後のギャップを減らしやすい
- 社員の空気感や人柄が伝わりやすい
実際に、興味を持っている企業が社員インタビューを音声で配信していた場合、「飾らない本音が聞けそうで信頼が増す」、「入社後のギャップが少なくなりそう」といった期待が多く寄せられました。
企業が意識すべきは「伝える」より「届く」設計
生成AIによって発信量を増やしやすくなった今こそ、企業は「何をどれだけ書くか」だけでなく、どうすれば信頼され、実際に届くかを考える必要があります。
今回の調査は、採用広報においてテキスト、動画、音声をどう使い分けるべきかを示しています。とくに若手人材に向けた発信では、本音感と効率性の両立が重要です。
結論として、Z世代の情報収集は「文章を読む」から「耳で拾う」へと広がっています。企業側も、従来の採用サイトや動画だけに頼らず、音声を含めた複数の接点を設計することが、これからの採用成功につながるはずです。
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この記事を書いた人Wrote this article
sorein 教育×ITフリーランス / 女性
小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。




