知財を持つ会社はどこか?特許は大企業に集中、商標は中小まで広がる最新調査

知財を持つ会社はどこか?特許は大企業に集中、商標は中小まで広がる最新調査

会社が持つ知的財産というと、特許を思い浮かべる人が多いかもしれません。ですが、最新の調査では、知財の裾野を広げているのは特許ではなく商標でした。株式会社Compalyzeが公表したデータからは、「知財を持つ会社」の姿が、特許と商標で大きく異なることが見えてきます。

知財を持つ会社の分布を示す調査画像

知財保有企業は約38.7万社、その中心は商標

Compalyzeの調査によると、特許・実用新案・意匠・商標のいずれかを1件以上持つ会社は、387,007社にのぼります。ただし、その大半を支えているのは特許ではなく商標です。

商標を持つ会社は316,045社で、特許を持つ会社の124,389社を大きく上回りました。さらに、保有会社を重なりで見ると、商標だけを持ち特許を持たない会社が約24.9万社に達し、知財保有企業の約64%を占めています。

つまり、「知財を持つ会社」といっても、研究開発型の大企業だけではありません。ブランド名や商品名、ロゴを守るために商標を持つ、幅広い企業が含まれているのです。

特許は“狭く厚く”集中、上位1,000社で8割超

一方で、特許はかなり偏りの大きい資産です。法人にひもづいた特許940万件のうち、上位100社で約53%上位1,000社で約84%を占めています。

頂点に立つのはキヤノンで、特許保有件数は27.2万件。続いてパナソニックホールディングス、東芝、トヨタ自動車、三菱電機、リコー、日立製作所、ソニーグループ、日本電気、セイコーエプソンが並びます。

この結果から分かるのは、特許は「広く薄く」ではなく一部の大企業に厚く集中しているということです。特に電機・精密・自動車といった製造業に強く表れています。

特許保有件数の集中を示すグラフ画像

「特許だけ」「商標だけ」「両方」で会社の性格が見える

調査では、知財の持ち方によって会社の性格がかなり違うことも示されました。大きく分けると、特許だけ商標だけ両方の3タイプがあります。

  • 両方持つ会社:研究開発とブランドを両輪で守る成熟企業が中心
  • 特許だけの会社:技術はあるが、表に出にくいBtoB型企業が多いとみられる
  • 商標だけの会社:新しい小規模事業者やブランド型企業が多い

とくに両方を持つ企業は、上場率や決算公告の実施率が高く、規模感や開示姿勢も際立っています。逆に商標だけの企業は設立年が比較的新しく、飲食・小売・サービス業など、ブランドで勝負する業種が中心です。

業種別では、製造業が特許型、サービス業は商標型

業種ごとの違いも明確です。特許を持つ会社が多いのは製造業で、33,231社が特許を保有しています。次いで建設・土木、IT・ソフトウェアが続きます。

一方で、専門サービス、小売、メディア、広告、不動産、飲食といった業種では、特許を持つ会社は少なく、商標中心の構造になっています。守るべき対象が技術なのか、ブランドなのかで、知財の持ち方が大きく変わるわけです。

商標は中小企業にも広がるが、特許は規模に左右されやすい

知財は大企業だけのものではありません。調査では、商標保有会社の約82%、特許保有会社の約71%が従業員50人以下でした。数だけ見れば中小企業にも広がっています。

ただし、規模による差ははっきりあります。従業員10人以下では特許を持つ割合は24%程度ですが、1,000人超では70%まで上がります。商標はどの規模でも8割前後で比較的安定している一方、特許は会社が大きくなるほど持ちやすい傾向です。

従業員規模別の商標と特許の保有傾向を示す画像

知財の地図は東京一極、でも特許は製造業の県に厚い

都道府県別では、東京都が知財保有会社数で132,577社と突出しています。特許を持つ会社も36,878社、件数では全国の約半分が東京に集まっています。

ただし、特許の「厚み」は製造業の集積地にも見られます。愛知県は会社数こそ東京や大阪に及びませんが、特許保有会社数や件数では非常に強く、ものづくり県らしい存在感を示しています。

このことから、知財の分布は単なる企業数の多さだけでは説明できません。商標は企業数に沿って広がり、特許は製造業の立地に引き寄せられる傾向があると言えます。

まとめ:知財の持ち方は、その会社が何で勝負しているかを映す

今回の調査で見えてきたのは、知財保有企業は約38.7万社と幅広い一方で、特許は少数の大企業に集中し、商標は中小企業まで広く行き渡っているという構図です。

そして、どの知財を持つかは、その会社の事業特性を映しています。技術で勝負する会社は特許を、ブランドで勝負する会社は商標を、両方を持つ会社はその両輪をしっかり回している、と考えると分かりやすいでしょう。

知財は単なる権利の数ではなく、会社の戦い方を表すヒントでもあります。自社や競合を理解する際には、売上や従業員数だけでなく、何を守るために知財を持っているのかにも目を向けてみる価値がありそうです。

参考記事

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000165558.html

この記事を書いた人Wrote this article

sorein

sorein 教育×ITフリーランス / 女性

小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。