新人育成に時間がかかり、ベテランの負担が増える現場

カスタマーサポートの現場で、新人が一人で対応できるようになるまで半年以上かかるケースが過半数を占めていることが、インゲージの調査で明らかになりました。人手不足が深刻化するなか、教育にかかる負担や業務の属人化が、現場の大きな課題になっています。

一方で、問い合わせ対応の効率化に向けてAI活用への期待も高まっています。ただし、導入の障壁は費用よりも「IT人材の不足」や「回答精度への不安」が中心で、AIをどう使いこなすかが重要な論点になっているようです。

新人育成に時間がかかり、ベテランの負担が増える現場

今回の調査では、問い合わせ対応に携わる人の52%が人手不足を実感していました。特に、製造業や建設業、医療・福祉、IT・情報通信業ではその傾向が強く、限られた人員で業務を回す難しさがうかがえます。

さらに、新人が独り立ちするまでに「半年以上」かかると答えた人は55%でした。その結果、ベテラン社員やリーダーの作業時間が削られていると感じる人は64%に達しています。つまり、育成に時間を割くほど現場の主戦力が疲弊してしまうという、厳しい構図が浮かび上がります。

問い合わせ対応の現場では、単に人を増やすだけでなく、育成負荷をどう下げるかが重要です。属人的なノウハウに依存したままでは、少人数で安定した運用を続けるのは難しくなっています。

AI導入の壁はコストではなく「使いこなす人材」

AI導入というと、まず費用面がネックになるイメージがありますが、今回の調査では少し違う結果が出ています。導入の障壁として多く挙がったのは、「ITに詳しい人がいない」ことと、「AIが間違った回答をする不安」でした。導入コストはそれらに次ぐ3番手です。

つまり、課題の中心は「買えるかどうか」ではなく、「運用できるかどうか」にあります。AIは便利な一方で、設定やチューニング、ナレッジ整備、回答品質の確認など、実際の運用には一定の体制が必要です。

また、業務でAIをまったく使っていない人が50%いる一方、利用者の多くは「返信文の作成・添削」や「問い合わせ内容の要約」といった、比較的導入しやすい場面から活用していました。まずは文章業務の補助から始める流れが、現実的な選択肢になっているようです。

理想は「人とAIの協働」

AIに期待されている役割としては、「よくある質問への自動回答」や「繁忙期のサポート」が上位に挙がっています。ただし、現場が求めているのはAIへの完全な置き換えではありません。

調査では、76%が「人間へのスムーズな引き継ぎ機能」を重視していました。さらに、62%が自律対応するAIに期待を寄せています。ここから見えるのは、AIに一次対応を任せ、複雑な案件は人が引き継ぐという役割分担です。

いわゆる“丸投げ”ではなく、人とAIが協働する運用が理想だと考えられているわけです。これなら、定型業務の負担を減らしながら、顧客体験の質も保ちやすくなります。

属人化を減らし、対応品質を平準化するには

今回の調査では、業務の属人化に課題を感じる人が63%に上りました。特定の人でないと対応できない状況は、営業時間外や繁忙期の対応リスクにもつながります。実際に、45%が迅速な対応に不安を感じていました。

こうした課題に対しては、問い合わせ対応の履歴やナレッジをチームで共有し、誰でも一定品質で対応できる仕組みづくりが欠かせません。AIはその補助役として、回答案の提示や要約、引き継ぎ支援などで力を発揮しやすい領域です。

特に、問い合わせ件数が多い企業や、教育に時間をかけにくい現場では、AIを活用した標準化が大きな意味を持ちます。ベテランの経験を個人に閉じ込めず、組織の資産に変えていくことが、今後のカスタマーサポートの競争力につながりそうです。

まとめ: AIは“置き換え”より“支える”存在へ

カスタマーサポートの現場では、人手不足、新人育成の長期化、属人化といった課題が重なり、従来のやり方だけでは限界が見えています。そのなかでAIは、現場を完全に置き換える存在ではなく、人の仕事を支え、負担を減らす実務ツールとして期待されています。

今後は、導入のしやすさや精度だけでなく、既存の業務フローにどう自然に組み込めるかが重要になります。問い合わせ対応の品質を保ちながら効率化を進めたい企業にとって、AIとの協働はますます現実的な選択肢になっていくでしょう。

参考記事

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000320.000029485.html

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sorein

sorein 教育×ITフリーランス / 女性

小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。