メンタル不調による休職は、本人の回復だけでなく、職場への復帰やその後の定着まで含めて支援することが重要です。全国健康保険協会京都支部の分析では、休職中または受給終了後3か月以内の離職率が約60%にのぼることが分かりました。企業にとっても、見過ごせない課題といえます。
今回の分析は、2020年4月~2024年3月支給分の傷病手当金データをもとに、精神疾患による休業や離職の傾向を調べたものです。対象は約9,000人分で、年齢、性別、事業所規模、健康宣言の有無なども踏まえて検討されています。
若年層にメンタル不調の申請が集中
分析結果でまず目を引くのは、20~30代の申請件数が男女ともに最多だったことです。入社直後やキャリア形成期は、仕事を覚える負荷に加え、人間関係や役割の変化が重なりやすい時期です。そのため、ストレスが蓄積しやすく、メンタル不調につながるケースが増えやすいと考えられます。
一方で、年齢が上がるにつれて申請件数は減少するものの、50~60代でも一定数の申請が続いていました。つまり、メンタルヘルスの課題は若手だけの問題ではなく、全年代で起こりうるテーマだといえます。
休職後の離職率は男女ともに約60%
次に注目すべきは、メンタル不調による傷病手当金の受給中、または受給終了後3か月以内に資格喪失した割合です。結果は、男性54.2%、女性59.9%。いずれも非常に高い水準でした。
これは、休職したあとに職場へ戻る前に離職してしまう人が少なくないことを示しています。単に「休ませる」だけでなく、復職に向けた継続的な支援がなければ、雇用の維持が難しくなる現状が見えてきます。
年齢別に見ると、離職は若年層と高齢層で多く、40~50代では少ない傾向が確認されました。若年層ではキャリアの浅さや職場適応の難しさ、高齢層では体力面や役割調整の難しさなど、年代ごとに異なる背景があると考えられます。
健康経営が離職防止につながる可能性
今回の分析でもう一つ重要なのが、健康宣言事業所では喪失率が低かったという点です。健康宣言事業所とは、協会けんぽ加入事業所の中で、健康経営に取り組むことを事業主が宣言した事業所のこと。京都支部では、こうした事業所向けにさまざまなサポートも行っています。
性別や年齢、事業所規模などを調整した多重ロジスティック回帰分析でも、健康宣言事業所の資格喪失率は有意に低い結果が出ました。つまり、健康経営への取り組みがメンタルヘルス不調者の離職防止や復職支援に役立つ可能性が示されたということです。
企業が今すぐ見直したい3つのポイント
- 若手社員への定期的な面談や相談体制を整える
- 休職中だけでなく復職後も含めた支援フローを作る
- 管理職向けにメンタルヘルス対応の教育を行う
特に重要なのは、休職者本人だけでなく、職場全体で支える仕組みをつくることです。休職の初期対応が適切でも、復職後に負荷が高いままだと再休職や離職につながりやすくなります。業務の配分、コミュニケーションの取り方、働き方の見直しまで含めて考える必要があります。
まとめ: メンタル不調は「採用後の定着」に直結する課題
今回の分析からは、メンタル不調による休職がそのまま離職につながりやすく、特に若年層でその傾向が強いことが分かりました。企業にとっては、採用や育成だけでなく、「いかに辞めずに働き続けてもらうか」がますます重要になっています。
健康経営は、そのための有効なアプローチの一つです。ストレスをためにくい職場づくりや、早期対応、復職支援を進めることで、従業員の健康と企業の安定した成長の両立を目指したいところです。
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この記事を書いた人Wrote this article
sorein 教育×ITフリーランス / 女性
小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。

