AIツールの導入が広がるなか、「入れたのに成果が出ない」という声は少なくありません。株式会社Micoの調査では、AI導入・検討企業の約75%が現場課題を解決できていないことが明らかになりました。ポイントは、ツール不足ではなく運用不足にあるという点です。
AI導入企業の課題は「分析できるが動けない」こと
今回の調査では、営業やカスタマーサポートなど顧客接点を担う企業担当者301名を対象に、AI活用の実態が調べられました。その結果、79.7%がAIツールを導入・検討済みである一方、75%が何らかの課題を抱えていると回答しています。
特に大きかったのは、課題を抱える企業のうち41.1%が「分析やデータは取れているが現場アクションに活かせていない」と答えた点です。つまり、データは見えるようになっても、実際の対応改善や営業行動の変化につながっていないのです。
さらに、課題が解決しない根本原因として最も多かったのは「ツールを導入しただけで業務プロセスに沿った運用設計ができていない(38.1%)」でした。AIの性能そのものよりも、業務への組み込み方が成果を左右していることが分かります。
消費者が求めているのは「速さ」と「的確さ」
一方で、消費者側の調査結果も興味深い内容でした。商品やサービスを比較検討する際、意思決定に疲れを感じる理由の1位は「情報や選択肢が多すぎて整理できない(41.6%)」です。情報が多すぎる中で、企業側の適切なサポートが求められています。
消費者が企業に最も望む対応は「問い合わせへの即時レスポンス(42.9%)」、次いで「メリット・デメリットの客観的提示(40.2%)」でした。スピードだけでなく、判断材料としての情報の質も重視されていることがわかります。
そして見逃せないのが、64.0%の消費者が「返答の遅さ」を理由に購入・契約をやめた経験があることです。さらに、42.8%は1時間未満で離脱を考え始めると回答しており、対応の遅れは機会損失に直結します。
企業と消費者の期待にズレがある
企業側は顧客満足度(CX)の向上を最重要視しているものの、消費者が最優先で求める即時レスポンスとの間にはズレが見られます。企業は「よい体験」を作ろうとしていても、顧客はまず「待たされないこと」を重視しているのです。
このギャップが放置されると、AIを導入しても期待通りの成果は出にくくなります。なぜなら、顧客接点で重要なのはツールの有無ではなく、顧客の行動に合わせて最適な対応を返せる仕組みだからです。
LINEと電話では、AIに求める役割が違う
調査では、LINEと電話でAIに期待する効果にも違いがありました。LINEでは「24時間365日の即時対応(30.6%)」が特に期待され、電話では「対応品質の底上げ(28.9%)」への期待が比較的高くなっています。
これは、チャネルごとに役割が異なることを示しています。LINEは手軽さと即応性、電話は対話の深さや安心感が求められるため、AI活用も一律ではなく、チャネル別に設計する必要があります。
これからのAI活用で重要なのは「導入」ではなく「設計」
今回の調査が示した最大の示唆は、AI活用の課題が「ツールを入れるかどうか」から「現場でどう使い切るか」に移っていることです。データ取得や自動化が進んでも、業務フローに落とし込めなければ現場は動きません。
AI導入を成果につなげるためには、次のような視点が欠かせません。
- どの業務でAIを使うのかを明確にする
- 取得したデータを誰がどう判断するかを決める
- 現場がすぐ行動できる運用ルールを整える
- チャネルごとに顧客期待に合わせた設計を行う
AIは導入しただけでは成果になりません。業務プロセスに組み込み、現場が使える形にすることで初めて、顧客体験の改善や売上向上につながっていきます。
消費者は待てません。企業も動きたい。だからこそ今必要なのは、AIそのものではなく、AIを動かす設計力だと言えるでしょう。
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この記事を書いた人Wrote this article
sorein 教育×ITフリーランス / 女性
小〜高校教員として勤務し、製造業の社内SEを経験して教育×ITフリーランスになったsoreinです!教員免許や基本情報技術者、応用情報技術者、DBスペシャリストの資格を取得しています!ITニュースや技術書を読むのは趣味みたいになっています。


